
1: ◆qQDmM1OH5Q46 投稿日:2016/02/28(日)16:30:32
川口マーン惠美氏インタビュー
自由と民主主義が消えるEU。現地の空気はいつ変わったのか
時代を切り取る新刊本をさまざまな角度から紹介する「Book Picks」。
今回取り上げる『ヨーロッパから民主主義が消える』は、ドイツ在住の日本人作家が、
理想を失って迷走するEUの姿を描いたルポルタージュ。著者の川口マーン惠美氏に、
自由と民主主義というEUの理念が色あせていった「ターミングポイント」について聞いた。
欧州内で孤立するドイツ
──川口さんは本書で、EU(欧州連合)の理念である「自由」「民主主義」が欧州から
消えつつある現状を描いています。長らくドイツに在住する中で、潮目の変化を感じたのはいつ頃でしたか。
川口:一番大きいのは昨年来の難民問題の激化です。難民問題は今に始まったことではなく、
以前より、イタリアやギリシャ、スペインには北アフリカからの膨大な数の難民が流入していました。
しかしドイツは、困っていた南欧諸国に大して協力しなかった。
その後、シリア内戦の激化に伴い、中東難民がバルカン半島からハンガリー、オーストリアを通ってドイツに向かうという流れができました。
当初、ドイツは難民を歓迎する姿勢を見せていたのですが、次第に国内で吸収しきれなくなり
「EU全体で解決しなければならない」と発信するようになった。
しかし、イタリアが困っていたときに見て見ぬ振りをしていましたから、ほかの国も聞く耳を持ちません。
今、ドイツは欧州内で孤立しています。
メルケル首相が「難民条約で決められている政治難民は、無制限に受け入れる」と発言する一方、
国内の受け入れ体制はすでにパンクしている。その収拾をつけるために、外務大臣や内務大臣が、あちこち奔走しています。
たとえばアフガニスタンを訪問し、「ブローカーの『ドイツに行けば無料で住宅がもらえる、語学講座を受けられる』
という宣伝は嘘です」とアピールしている。できるだけ来ないでほしい、と発信し始めたのです。
メルケル首相も昨年10月、トルコを訪問し、「トルコ国内に滞留する250万人の難民を外に出さないでほしい、
その代わりに30億ユーロの援助をする」と提案しました。
ドイツが締め出すのではなく、トルコに元栓を閉めてもらおうという作戦ですが、
私には、汚れ役をトルコに押し付けるように思えてなりません。もっとも現時点でおカネは支払われておらず、
難民がヨーロッパを目指す流れは止まっていません。
そんな中、欧州各国は国境でのパスポート検査を復活させました。これはEUの理念に最も違反することで、
EUは本格的に壊れ始めているのだと見て取れます。
続き NEWS...